隠密日記
- 男は急いでいた。
- 今日は鍵開け当番。
- 早く行かないと、誰かを待たせる事になるかもしれない。
- 彼は、愛車のイグニッションをひねり、キックを入れる。
- 「フォーン」
- 甲高い音を立て、吹けるエンジン。
- ギアを1速に入れ駆け出す。
- 男はふと異変に気付いた。
- 「腹が痛い。」
- この寒さのせいで冷えたか。
- 走っていると余計に冷えるせいか、加速する腹痛。
- やばい・・・
- その時、急激にバイクはスピードを落した。
- 「何!?」
- 止まるエンジン。
- 「くっ、こんなところでエンスト・・・」
- 加速する腹痛。
- 焦ってキックを入れる男。
- 「かかった」
- 妙に甲高い音を立てて吹けるエンジン。
- 男は一気に加速し、走る。
- 「あと少し・・・」
- あとカーブ2つで会社だ。
- またもや、急激にバイクはスピードを落した。
- 「ぐわっ!?」
- 彼の腹痛は限界に来ていた。
- しょうがなく、バイクをおしながら会社に向かう男
- あと、少し。
- あと、少し。
- 呪文のように唱えながら、急ぐ。
- 「着いた・・・」
- 男は会社の前にバイクを放り出すと、一目散に会社へ飛び込んだ。
- ・・・
- 彼は勝ったのだ。
- その後、何気なくバイクのタンクを叩いて男は気がつく。
- ・・・ガス欠かよ
- と。